石転ビ沢 春山技術合同訓練

GPS LOG 快晴の集合場所 ミーティング 綺麗で悲しい所 凄まじい雪崩の跡 これも雪崩の跡
雪渓が割れている。 門内沢 雄大な石転ビ雪渓 ホン石転ビ沢 アイゼン登行講習 これより最後のガンバリ
振り返る 北股岳 合羽搬送具の説明 組み立て 下山後の駐車場 玉川の流れ

日時       平成18527日〜28
参加者    山形県山岳協関係者・小国山岳会・公募計23
行き先    石転ビ雪渓(北股岳)
天 候    27日快晴  28日霧雨
気 温    2712.8度〜24.9   2814.1度〜20.2度(山形県小国町)
ウインドプロファイラ  1km東南24m 2km18m 3km14m 4km南南西17m 5km南南西23m(観測地 酒田)



5月27日03:00天気図 5月27日18:00天気図 5月28日06:00天気図 5月28日15:00天気図
5月27日03:00気象衛星 5月27日18:00気象衛星 5月28日06:00気象衛星 5月28日15:00気象衛星
気象庁のHPより引用しました。低気圧の東側で気圧の傾きが急で東〜南の強風が吹きやすい。

目 的    春山登山技術研修                                                                             
装 備     春山1泊小屋泊
登はん用具 ピッケル アイゼン ロープ(φ9mm×40m)
通信用具  アマチュア無線機
ナビ用品  GPS 地図 コンパス マップポインター
防寒具     フリース・ダウンジャケット(薄手)
その他   通常装備
飲み物   水1L
食料品     27日行動食 握り飯 パン、菓子類 夕食共同
                 29日朝共同、行動食 パン菓子類
嗜好品   焼酎・ツマミ類
残 量   残なし(緊急食を除く)

コースタイム              事柄              備考
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0600              自宅発
0715              梅花皮山荘着     道中コンビニで食料品を調達
0735              集合点呼・集金・装備分配・挨拶、注意事項など
0800              大淵出発
0820              温身平着・車で温身平まで入れてくれた。(450m
0835              温身平発
0930              うまい水着・小休止 雪が多い590m
0943              うまい水発
0950              ババマクレ通過       足場悪い 本流露出
0958              地竹原の先で雪渓に乗る(640m)
1020              梶川ノ出合(690m)
1058              石転ビノ出合着              大休止・食事(870m)
1130              石転ビノ出合い発
12
30              ホン石転ビノ出合着(1,250m)
1255              ホン石転ビノ出合発
1335              北股ノ出合の休憩ポイント着(1,540m)
1356              北股ノ出合の休憩ポイント発
1506            梅花皮小屋着(1,850m)
1520分       乾杯
2100              就寝

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0445              起床
1040              小休止後集合・合羽搬送準備
1053              合羽搬送で下山開始
1230              石転ビノ出合い(870m)
1245              梶川の出合い上の水場着 大休止・昼食
1309分     梶川の出合い上の水場発
1326              地竹原の先、夏道に上がる(630m)
1344              うまい水着(590m
1417              砂防ダム (500m)
1430              温身平着
1500              大淵駐車場着              貸与装備の返却・解散  梅花皮山荘で入浴
1540              梅花皮山荘発
1700              自宅着

移動データ
標高       スタート場所 温身平           450
到達地点  梅花皮小屋    1,850
標高差    1,400

TP距離  総移動距離(GPSデータ)13.4km
時間       移動時間(GPSデータ)       4:38
移動平均速              2.9km/h          

概要
春山登山技術合同訓練が527日〜28日石転ビ沢で開催された。(主催 山形県山岳連盟(指導員会・遭難対策委員会) 後援 飯豊朝日山岳遭難対策委員会・飯豊朝日を愛する会)上級コースは513日〜14日に予定されていたが、大淵から飯豊山荘迄の雪の状態が極めて悪く中止となった。そのため中級コースのみの開催となった。私、個人的には上級の申込みも考えていたのだが、5月連休中に二王子岳〜門内岳への縦走が下越山岳会の会山行として行われて参加する事が決まっていたので連休後で仕事の事もあり2週続けて休み難く初めから中級コースを申し込んだ。

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朝目覚めると、天気は良い。週間予報で週末の悪天候が予報されて直前になり土曜日は晴れ、日曜日は崩れるとの予報になった。天気図、予報図を見ると低気圧の前面が気圧の傾斜キツイ。従って低圧部に入ってしまえば風が収まるが雨が降る。という感じだが、石転ビ側が風下になるため風の影響は比較的少ないだろう。600分に自宅を出て、コンビニに寄り行動食等を購入して集合場所へ向かう。715分に大淵に着くが、そのまま梅花皮荘へ行きWCを借りて735分集合時間になり点呼・装備品の貸与・共同装備の分担をおこなう。昨年ご一緒させて頂いた方々の元気なお顔も見える。車を停めた場所のお隣がいっちゃん達かしましシスターズご一行の車でした。桃パパさんは、おNEWの車で登場。LFDさんの進行で挨拶、ミーティング等を行い車に分乗させていただいて大淵を後にした。

昨年同様に、林道の一部崩壊のため本来車両通行止めの林道を山岳パトロールの一環という位置付で特別に車で進み天狗平ロッジ・飯豊山荘を通過し、湯沢ゲートも開錠してそのまま温身平まで車で進めた。点呼・準備体操で身体をほぐして出発。

林道をいくらも歩かないうちに雪が出る。やはり昨年と比較すると雪が多いようだ。上の砂防ダムからは勢いよく水が流れている。4年前の事故現場対岸。手を合わせる。早いものだと感じる。雪に覆われて広くなった所で、凄まじい雪崩跡を見る。樹木が一定の高さで一定の方向へなぎ倒されている。そこそこの大きさのある木なのでこの場所にしては大きな雪崩だったのだろう。なぎ倒している方角を見ると沢の対岸から一気に走ったのだろうと想像する。

小沢に雪が残り割れそうな場所があり上へ巻いて通過する。少し難渋した方もいらっしゃったが特に問題なく通過した。巻いている途中でもLFDさんはすかさずウド発見!と山を楽しみつくす人達である。957分「うまい水」着。素晴らしい青空に山の緑と残雪がまばゆいばかりである。「うまい水」周囲もまだ雪に覆われている。桃パパさんと本当に雪が多いねえと話す。下ツブテ、上ツブテ石も出ているが、雪は何とかつながっていた。雪が多いと改めて感じる。冷たい水で顔を洗い喉を潤す。「うまい水」を後にして「婆マクレ」の悪場を通過する。「婆マクレ」は元々は警察官がマクレ落ちた事から、「巡査マクレ」と呼ばれていたのだが、その後、高齢の女性がこの悪場でマクレ落ちたところから、「婆マクレ」と云われるようになったそうである。「婆マクレ」の前に「巡査」が居たのは知らなかった。ツブテ石周辺の沢は雪で埋まっていたが、婆マクレからみると本流は穴だらけで梅花皮沢の水が奔出している。今日はいいけれど、明日の帰りは雨で濡れて滑りやすいのでプラブーツで歩くのは嫌だなあ。等と考えながら婆マクレを通過して地竹原の先のほうで雪渓に乗る。

雪渓の右岸、左岸両側に亀裂が入りかけ、中央部はやや窪んでいる。間隔を空けて一人づつ通過する。昨年より雪が多いが雪渓の状態は不安定な感じがする。単独のスキーヤーが雪渓の上を軽快に登っていった。傾斜の緩やかな雪渓をゆっくり進む。少し窪みかけている場所を避けつつ「滝沢ノ出合」「梶川ノ出合」をS字状に進み「梶川の出合」。梶川はまだ、びっしりと雪がついている。ここからは雪渓の状態は安定しているが、流れ込む枝沢周辺は薄くなっているのが普通なので注意が必要。「梶川の出合」の少し上の水場で給水休憩を取る。HZUさんの話では多分、「石転ビの出合」の水場は使えないと思う。最後の水場になるかもしれない。との事。各自給水して「石転ビの出合」を目指す。

「石転ビの出合」で大休止。握り飯を頬張る。門内沢を眺めると、スキーヤーと思われる数人が門内沢を進んでいる。かしましシスターズが玉子焼きを出してくれた。ここでHZUさんが、飯豊の禁忌を説明してくれた。今では、あまり気にする方もいらっしゃらないが、やはり地元の方は禁忌は禁忌として認識している。鶏、鶏の卵の入っているものを避けるのだが、よくよく考えると、鶏卵はかなり多くの食品に原材料の一部として使われているため、なかなか難しい。便利な様だが、現実的には我々が生きている現代の社会では、自分自身の食べ物すら、自らコントロールすることが難しくなっているという事ではないだろうか?避けたくても避ける事ができないのだ。知らぬ間に食べさせられている。便利な様だが危うさの一端が見える。

石転ビ沢も右岸側、左岸側ともデブリの跡がある。見上げても振り返っても素晴らしい風景である。この美しい風景とは裏腹に、この雪渓は多くの事故・遭難による死傷者をだしている。食事を採りながら、青空に感謝する。少し風がでてきて汗で濡れた半袖シャツがヒンヤリする。風向きは下から吹き上げてくる。吸い込みの風だろうか。HZUさんより、「ホン石転ビ沢出合」付近、「北股沢の出合」付近で休憩して約3時間の行程と説明がある。「ホン石転ビ沢出合」対岸の休憩適地までは、現時点では雪渓も安定しているし、落石もあまり警戒しなくてもよいと思う。「石転ビの出合」からは徐々に傾斜がでてくるが雪は軟らかい。ここからは少しづつ風景が広がっていくのが感じられる。我々を追い抜いたスキーヤーが小さく見える。随分進んでいる。

「ホン石転ビ沢出合」対岸の休憩適地に着いて長袖のシャツを着る。ストックをたたんで、ピッケルを出す。菓子パン等を食べてこれからの頑張りに備える。EHJさん、いっちゃんが果物を出して下さいました。ありがとうございました。美味しかったです。「石転ビの出合」方向を振り返ると2名の登山者の姿が小さく小さく見える。石転ビ雪渓は、上部へ登るに従い、傾斜が増してくる。ガイドブックでは、「石転ビの出合」でアイゼンを着ける。と云われているが条件が良ければ(雪が軟らかい場合)アイゼンを着用しないで「ホン石転ビ沢出合」対岸の休憩適地までツボ足で登る事もできる。通常はこの「ホン石転ビ沢出合」対岸の休憩適地からアイゼンを着用する。しかし今回はそのまま登る。雪が軟らかいので、アイゼンは着用せず「北股沢の出合」の右岸側を目指し登る。しかし、斜度が徐々に出てくる所なので、滑った瞬間にピッケルを打ち込まなければならない。また、北股沢が近づいてくると、落石への警戒が怠れない。

「北股沢の出合」の右岸側について、小休止してアイゼンを着用する。今日は雪が軟らかいので、アイゼン無しでも登れるが、アイゼン歩行も大事な訓練科目であり、アイゼンを着用する。ここから先が一番の頑張りどころ。落石に警戒しながら稜線へ向けての頑張りどころである。一人の方が脚を攣らせた。痙攣止めの薬を渡す。実は最近、私も休んだ後時々脚を攣らせる事がある。少し屈伸したりすると直に治るのだが何故だろうか。それでも、何時も必ず直に治るとも限らないので、芍薬甘草湯という漢方薬を持ち歩いている。勿論、熱性痙攣の場合、こんなモノを飲んでいる場合ではないがとにかく良く効く。私もアイゼンを着け小休止後少し違和感が出てきたが攣るまでに至らず。動いているうちに違和感は消失した。あと、標高差
150mだよ、100mだよ。と声をかけて進む。空の雲がもの凄く早い動きで北西に流れて行く。天候が悪くなる予兆は既にでているな。と考えているうちにポンと小屋の前に飛び出した。HZUさんが、お疲れ〜の声で出迎えくれた。全員到着して2階へ上がり点呼をとって何は無くても、とにかくの乾杯。旨い。

ワイワイ話しているうちに水場へ水を採りに行く。時間を追う毎に風は強くなる。階下に下りると一人の男性がいて外に女性がおられた。今ついたばかりのようだった。外の女性は水を採りに行った様で、風に耐えながらかなり本気で歩いていた。私は、小屋のサンダルで出てきたので少し怖かった。

美味しい酒を飲みながら、エイトノット、クローブヒッチ、ダブルフィシャーマンが結べない方を対象としたロープワークの勉強会が行われた。クライミング、沢登りをしない方はあまりロープに馴染む機会がないため講習会等で習っても忘れる。いや、忘れる方が普通だと思う。覚えるためには繰り返しやるしかないと思う。「晩酌のお伴に2mのシュリンゲをご用意する事をお勧め致します。」と助言した。なお、HZUさんから末端処理について追加説明があり、私が見聞きした従来の考え方が変ってきている事を知った。

その後、LFDさん説明、ECBさん調理のチャンコ鍋がメインの夕食。ゴボウが効いていてとても美味しかったです。楽しく美味しい夕食に1階に居られた仙台からの2人も加わり楽しく過ごして私は21時頃就寝。遠のく意識の中でマムシの何とやらが、何かに作用してどうのこうの・・・でも卵胎生なので時期が大事でナンヤラカンラで・・・・2つで大変な事になるとか・・・・・だからナントか譲って欲しい・・・・etc・・・蝋燭の明かりの中、怪しい話が続いていた。

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風は一晩中吹き続けていた。風の音で時々目を覚ましてしまい、なかなか熟睡できなかった。天候は相変わらずの強風と霧雨445分に起床。寝不足気味で少しぼ〜っとしている。お茶を飲んで目を覚ます。その後朝食を摂りながらHZUさんの携行品の解説。悪天候のため小屋の内で搬送用具の組み立て(ザック+外張等の利用+ガムテープ)及び負傷者の担ぎ方の講習。

後片付けをして合羽、ハーネスを着用して外で、ピッケルでの滑落停止、アイゼン歩行(登下降)の講習、その後ピッケルとシュリンゲ+カラビナでのグリップビレイの講習が行われた。ピッケルでの滑落停止では、いかに素早くピッケル打ち込むか。=素早く停めるか。ということ。アイゼン歩行では内側の爪で自足引っ掛け転倒が無いように。グリップビレイでは、必ず折り返した両方のロープを常にどちらか手で握っている事など基本的な技術の講習と確認を行った。

一度小屋に戻り小休憩とってザックを背負い搬送の訓練の開始である。昨年負傷者だったKさんは今年は担ぎ役。今年の負傷者役はかしましシスターズのNさん。風雨、視界不良の中、搬送訓練が始まった。メンバー間の連携、意思の疎通が悪いようで少しもたつく。ロープを踏みそうになったり、もたつく度に講師陣から厳しく注意がだされる。また、ロープをキンクさせてしまう場面も何度かあり、私はロープの処理と下降のサポートをしながら下る。サポートしている方が目の前で転倒したが即停止した。下の方で大声が聞こえた。誰かが滑落したようだ。滑っているのが見える。石に当たらず早く止まれ。と思う。どうやら無事に停止したようだ。かなりメンバーが下に向かったので、そろそろ担ごうか。という時、「ラーク」の声。私から見ると梅花皮岳側を音も無く転る落石がありHZUさんから視界も悪く今後も落石が発生する可能性があるので搬送訓練中止、落石の可能性の比較的低い所(「北股沢の出合」の右岸側)まで直ぐに下ること。と指示がでる。私も上を警戒しながらロープを片付けそそくさと下降する。

「北股沢の出合」の右岸側でアイゼンを外してバランスで滑ったり、尻セードをしたりして「石転ビの出合」を目指す。出合で揃ってから梶川の少し上の水場で食事とした。ここまで下ると風もなく結構暑く感じる。雪渓の凹部に注意しながら雪渓を下る。

夏道に上がり雨に濡れた婆マクレを注意しながら通過して「うまい水」で小休止。ブヨが煩い。昨日、通過し難かった小沢の雪は落ちていた。難なく通過して後は、駐車場所を目指して雨に濡れた新緑を眺めながら歩いていく。駐車場所で点呼をとりHZUさんからの総評、LFDさんの進行で感想を一人づつ述べる。車に分乗して駐車場に向かい、駐車場で貸与品の返還等を行い、HZUさんから自宅に着くまでが登山なので気をつけて。との挨拶で解散した。私は梅花皮荘で風呂に入り、関川の道の駅で私とLTQの漬物を購入して17時に帰宅した。

楽しく有意義な2日間でした。
講師の皆様、参加者の皆様お世話になりました。また、どこかの山でお会いできますよう。


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